髙島野十郎という画家を知ったのは、たぶん、小林薫氏がナレーションを担当していた頃の『美の巨人たち』で取り上げられた回を見たのが最初だと思う。
その後も、自分にとって、気になる画家であり続けたが、知られざる「孤高の画家」、他の画家とは距離を置き「独自性」を貫いた、という論調で語られることが多く、それに対して違和感を感じてもいた。
むしろ、代表的な作品には、他の画家の影響が色濃く出ているような気がしていたのだ。
昨年が没後50年だったということで、大規模な回顧展が行われている。距離的な関係で豊田か大阪での巡回展を待つことにしたので、没後51年になってしまったが、季節的にも大阪中之島美術館を選択したのは正解だった。
桜が咲き揃い、天気もそこそこ良かったこともあって、最寄り駅のから美術館までの道は、快適な散歩道だった。
そして、肝心の回顧展自体も素晴らしいものだった。
たまたま季節が合っていたこともあるが、桜や菜の花やれんげ草といった春の絵は、懐かしさすら感じさせる風景画で、失われつつある日本の田舎がそこにはあった。
有名な蝋燭の絵も数多く展示されていた。髙島野十郎を象徴するモチーフとされる蝋燭であるが、意外なことに、蠟燭の絵は個展で発表されたものではなく、親しい友人や知人に贈り物として手渡されたものだったらしい。
蝋燭の絵はとても小さい。そして、ひとつとして同じものはない。
これだけ多くの贈られた絵が残されていたというのも、それぞれの元で大切に扱われていたという証拠で、それは、髙島野十郎という画家が、決して人嫌いの孤独な人物ではなく、むしろ人との繋がりを大切にしていたからではないだろうか?
図録を買ったら、サービスで菜の花の絵のトートバッグが貰えた。少しばかり得した気分になった。これも、絵の贈り物である。