9月も後半になって、日中はまだまだ暑いものの、今朝などは風が明らかに涼やかであった。待ちに待った秋の訪れである。
歩道の植栽からはリリリという虫の声。
もう蝉の声が聞こえてくることもない。
「今年の夏は蝉の声が聞こえてこない」という話題が出ていたのは6月の後半から7月の初めだったと思う。
「いやいや、環境の変化に合わせて蝉の活動時期がズレただけだ」とか、「そもそも梅雨がまだ明けていない」とかいう反論が出るに至って、ようやく朝方や夕方以降の気温が比較的低い時間帯に蝉の声が聞かれることが分かって、そういうことかと、あっという間に話題からは消えてしまったが、果たして、実際のところはどうだったのだろうか?
専門家の検証はもう少し後に出てくるのだろうが、自分の感触では、やはり、蝉は減ってしまったように思う。
というのも、所謂“セミファイナル”というやつを、今季は、まったく見ることもなく終わってしまったからだ。
通勤等に使う道沿いには、そこそこ立派な庭をお持ちの戸建てがあったり、小さな公園や中学校があったりで、しかも歩道の端には街路樹が植えられたりしているためか、毎年、腹を上に向けてひっくり返っている蝉が路上に落ちている。もう完全に動かなくなっているものが大半だが、いきなりバタバタと動きだしたりする蝉も混じっているので、油断ができない。
あれを“セミファイナル”と名付けた人のセンスというかユーモアには感心するが、実際のところ、心臓に悪かったりする。
が、今年の夏は、歩道にも、集合住宅の階段の踊り場にも、落ちているのを見ることがなかった。
蝉というのは、地下生活する期間は短い種では2年、長い種では17年で、成虫にになってからは1か月程度生きるとされている。昔は、2週間程度しか生きられないと言われていたように思うが、最近の研究では、もう少し成虫の寿命は長いという説の方が有力なんだそうだ。
温暖化の影響が地中にまで及んでいるのか、それとも一旦は羽化するものの気温が高過ぎて活動できずに死んでしまったのか。
数年後には、沈黙の春ならぬ、沈黙の夏が来てしまうのだろうか。